当社は、株式会社UACJ(以下「UACJ」)と共同で開発※1した、温室効果ガス(以下「GHG」)排出量を現行品に比べて約4割削減した飲料缶用の蓋「EcoEnd」について、このたび、UACJにおける蓋材の生産体制の構築とリサイクル原料の調達対応、また、当社石岡工場における蓋製造設備対応を整えたことで、EcoEnd生産体制の構築を完了いたしました。今後は、お客様のご使用に向けて、量産の準備を進めてまいります。
<「EcoEnd」の特徴>
①GHG排出量の大幅な削減
原材料製造時のGHG排出量がアルミ新地金の約3%である、リサイクル原料の使用量を大幅に引き上げたことでGHG排出量の大幅な削減を実現しました。現行の飲料缶蓋と比較し、10億枚当たりのGHG排出量が約1.3万t※2削減されます。当社が国内で販売する飲料缶蓋がすべて「EcoEnd」に置き換わった場合、年間約14万t※3削減される見込みです。
②多くのリサイクル原料が循環使用される、新たなアルミ循環フローを提案
缶蓋と缶胴では、求められるアルミニウムの強度などの特性が異なるため、缶蓋には一定量の新地金を投入し、成分調整をする必要があります。「EcoEnd」の素材は、新地金を減らし、使用済み飲料缶(UBC:Used Beverage Can)などのリサイクル原料の割合を増やすことで缶胴の成分に近づくため、溶解する時点では「EcoEnd」と缶胴の素材は同じ「モノマテリアル」とみなすことができます。溶解後、成分調整を行い、「EcoEnd」と缶胴それぞれの素材に造り分けることにより、従来どおり缶蓋と缶胴の特性の差を持たせることが可能となります。
「EcoEnd」の開発により、従前は困難であった、多くのリサイクル原料を缶蓋にも循環させることが溶解後の成分調整と製造技術の工夫により実現可能となりました。今後は蓋にもより多くのリサイクル原料が循環使用されることとなり、新地金の使用量削減にともなうGHG排出量削減が期待されます。「EcoEnd」により実現される新しいアルミ材循環フローは、以下のとおりです。
<現在のアルミ容器材の循環フロー> <「EcoEnd」が提案する新しい循環フロー>
③蓋の厚みが変わらないため充填ラインの設備変更不要
缶蓋材において、リサイクル原料の使用量を増やすために缶胴材と同一にすると軟質となるため、強度不足分を補うために一般的には蓋を厚くする必要があります。
「EcoEnd」は、UACJによる材料製造技術と当社による蓋成形技術を新たに組み合わせることで、リサイクル原料の使用量を増やした場合においても現行蓋と同等の品質性能をもたせることを実現しました。蓋の厚みに変更がない※4ため、飲料充填後の蓋を取り付ける設備変更も不要となり、スムーズな置き換えが可能となります。
当社の親会社である東洋製罐グループホールディングス株式会社およびUACJは、アルミ缶水平リサイクルのさらなる推進を目指し、2023年2月6日付で業務提携契約を締結しており、「EcoEnd」の開発も本提携における取り組みの一環となります。今後とも、本業務提携を通して、アルミ缶水平リサイクルのさらなる促進とサプライチェーン全体のGHG排出量の削減を目指してまいります。
※1 2023年12月4日付プレスリリース参照
「材料・製造方法を大きく見直した環境にやさしい次世代の飲料缶蓋「EcoEnd™」を開発 -UACJと共同の取り組みにより温室効果ガス排出量を4割削減-」
※2 当社調べ
※3 「EcoEnd」1個当たりのGHG削減量および当社における現行仕様のSOT(ステイオンタブ)缶向け蓋の2019年度製造実績を基に算定
※4 国内向け「EcoEnd」について。海外向けは現在開発中
■UACJについて
株式会社UACJ(ユーエーシージェー)は、グローバルに事業を展開するアルミニウム総合メーカーです。「アルミでかなえる、軽やかな世界」をスローガンに掲げ、素材の力を引き出す技術で、持続可能で豊かな社会の実現に貢献することを目指しています。
UACJは、2013年に古河スカイ株式会社と住友軽金属工業株式会社が経営統合し発足した会社で、アルミ圧延を開始してから125年以上の歴史を持ちます。グループ内に板、自動車部品、押出・加工品、鋳鍛、箔の5つの事業を持ち、飲料缶、自動車、IT機器、空調、航空宇宙産業などの幅広い分野にアルミ素材を供給し、人びとの暮らしや産業を支えています。
2024年3月期の連結売上高は8,928億円、グループ従業員は約10,500人です。
■本リリースに関するお問い合わせ先
東洋製罐グループホールディングス株式会社
サステナビリティ推進部 コーポレートコミュニケーショングループ 中野利・柿本
TEL:03-4514-2026 Mail:tskg_contact@tskg-hd.com