Technology技術情報
デコレーション(印刷・塗装):缶の印刷技術
金属缶への印刷は、被印刷物が金属で硬く吸収性がないため、オフセット方式で印刷されるのが主流です。
缶の構造によって2種類に大別され、3ピース缶及び2ピース缶のDR缶はシート状の金属板に平版を使用したシート印刷が、2ピース缶のDI缶・TULCは樹脂凸版(2ピース缶水なし平版印刷の項参照)を使用した曲面印刷が行われています。
缶分類 | 加飾形態 | 被印刷物 | 缶種 | 印刷方式 |
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3ピース缶 | シート印刷 | 金属塗装板 | 溶接缶 | 平版オフセット |
2ピース缶 | DR缶 | |||
曲面印刷 | 金属缶 | DI缶・TULC・aTULC | 凸版オフセット曲面 | |
平版オフセット曲面 | ||||
ラベリング | PETフィルム | TULC | グラビア |
- (1)シート印刷
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- 製缶前の金属板(シート) に多面付けして1枚ずつ搬送し、シート印刷機(輪転オフセット印刷機)によって印刷する方法で、製缶ラインとは別の独立した設備です。
- 厚み0.2㎜前後のぶりきやTFS(Tin Free Steel [錫を使用しない鋼板])の縦横1m程度の大板の内外面に塗装後、1枚ずつ搬送して1色ごとに刷り重ねていく方式で、塗装工程と印刷工程に分かれています。
- 製造工程は以下の通りです。内面塗装 → 外面塗装 → 印刷(複数回) → 仕上げワニス塗装 → 焼付け乾燥
- 刷下地としては、サイジング(メタリック感などを出すため金属の下地を生かす透明な塗料)と白さを際だたせるためのホワイトコーティングがあります。最終印刷の後、印刷面の保護・光沢・滑り性などを付与するため、仕上げワニスの塗装を必要とします。
- (2)曲面印刷
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- 成形加工(製缶)後の2ピース缶(DI缶やTULC)の外面に1缶ずつ曲面印刷機で印刷する方法です。それぞれの色の版(樹脂凸版)に各インキが盛られ、そのインキを順次ブランケット(インキ画像を缶へ再転移させる媒体)転写し、その後全色一度に印刷する方式です。
- 成形から製品仕上がりまで一貫した自動ラインによって製造され、塗装・印刷工程もそのラインに組み込まれています。
- (3)グラビア印刷フィルムラベリング
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- PETフィルムにグラビア印刷したフィルムを成形缶に貼り付ける技術です。グラビア印刷は凹版印刷(版の凹んだ部分にインキをいれて転写させる)であり、1色毎に乾燥して重ね刷りが可能であることから、幅広い階調(色の濃淡の変化や濃淡変化の滑らかさのこと:グラデーション)・濃度再現が得意な印刷方式です。
- 写真調の再現をはじめ、鏡面に近いメタリック感やパール感などの多彩な再現が可能です。TULCにラミネートさせた「ラベル缶」を開発しました。