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TULCの製造工程

TULC(Toyo Ultimate Can)は、缶の材料・生産プロセスを根本から見直すことで、環境保全性を飛躍的に高めた2ピース缶です。
PETフィルムを内外面にラミネートした鋼板(TFS:Tin Free Steel [錫を使用しない鋼板])材をDI缶と同じくカップ形状に加工した後、絞り加工に引っ張り加工、さらにしごき加工を加えて側壁を薄くしています(ストレッチ・ドロー・アイアニング成形と言います)。
DI缶と違って加工時にクーラント(潤滑・冷却剤)を使用しないため、成形後にそのクーラントを洗浄する必要がなく廃水処理が不要です。また、内外面にPETフィルムがラミネートしてあるため内面塗装も不要となり、塗料焼き付けによる二酸化炭素排出量も大幅に削減しました。

2ピース缶(TULC)製缶工程

  1. アンコイラ
    コイル状の板材をほどき、送り出します。
  2. カッピングプレス
    カップ状に打ち抜きます。
  3. リドロプレス
    引っ張り絞りしごき加工で缶胴を薄く伸ばし、底部の成形を行います。
  4. ヒートセットオーブン
    熱をかけてフィルムの歪みをとります。
  5. トリマ
    不要部分をカットし、高さを整え、ピンホールを検査します。
  6. プリンタ
    外面の印刷をし、ニスを塗布します。
  7. キュアリングオーブン
    缶を整列させ、印刷面の乾燥焼き付けをします。
  8. ネッカ・フランジャ
    缶口を絞り、縁を外側に出します。
  9. 内外面検査機
    内外面の不良を検査します。
  10. パレタイザ
    缶をパレットに積み付けし、シュリンク包装します。
  11. ふた巻締め(お得意先)

TULCとADI缶の成形法の比較

ADI缶はアイアニング成形

パンチとアイアニングダイの狭い隙間に缶材を押し込むことにより、しごき加工を行ない薄肉化します。その際、クーラント(潤滑・冷却剤)を噴射しながら加工するため、成形後に缶の洗浄とその洗浄水の廃水処理が必要です。

TULCはストレッチ・アイアニング成形

ストレッチ・アイアニング成形とは、TULCの基本的な成形法で、「引っぱり折り曲げ加工」を発展させたものです。バックテンション(逆張力)をかけながらアイアニング成形する「引っ張り絞りしごき加工」を採用しています。ラミネートされたPETフィルムが潤滑剤の役割をするため、クーラントを使用せずに成形ができ、水を使用しないなど環境負荷の低減と同時に、大幅な軽量化を可能にしました。

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